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玄関に出てきてほしい すねこすり


かわいい。

超かわいい。

天気の悪い夜に現れて、ちょっと歩きにくくさせる、という妖怪。すねこすり。

それ以上、大きな危害を加えることはないそうなので、すんごい断崖絶壁を歩いていない限り、そうそう困ることはない。

だとしたら!

この丸っとした形状、ふわっふわであろう毛並み。

もう完全に甘えている猫そのものの様相。

…超出てきてほしい。

夜仕事から疲れて帰ってきて、「ただいま~」とドアを開けたらすぐ、すねこすりが出てきてほしい。

「歩きにくいからやめて~」と言いながらヘラヘラとリビングまで引きずって歩きたい。

そんなすねこすり。

少し余談だが、私は何もない平地でも、がっと何かに引っかかる感じで転びかけることが、常である。

そのため「トロいやつ」と思われることもあるが(いやそれは否定できないが)、

そんな時は、目を凝らせば足元にすねこすりがいるのかもしれない。

彼らも天気の良し悪しを待つのも面倒だし、都会化に伴いゴロゴロと山を降りてきたのかもしれないし。

昔にもこういうトロいやつ、というのはいたのだろう。

天気の悪い日は足元も悪いし、まして夜。思わぬ恥ずかしいズッコケもあったことだろう。

そうやって日常のちょっとした”現象”を、昔の人は妖怪に昇華することで「あるよねー」と過ごしていたのだろうな。

いずれすねこすりの仕業と思えば、転ぶこともなんだか愛らしく感じ、なんかちょっと嬉しい。

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