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もう1人の自分 生霊


生き霊の歴史は古い。

平安時代末期の今昔物語集、そこには生き霊が京に現れて人を殺す話が描かれている。

ある家の主人に捨てられた女が、生き霊となり現れ、その主人を取り殺す。

確認のために女本人の元を尋ねるが、女は確かに生きていたままだった。

岩手県遠野市では、死ぬ直前の人の魂が抜け出て、幻となって人の前に現れるとされ、

これを「オモク」と呼んでおり、

柳田國男は「遠野物語拾遺」にてこれを記している。

江戸時代では、生霊が現れることは病気の一種とされていたという。

「離魂病」(りこんびょう)、「影の病」、「カゲワズライ」という名で、人々に恐れられた。

そこには、自分の体にいるべき魂が外に出て一人歩きをするということからだろうか、

昨今でいう「ドッペルゲンガーを見てはならぬ」ということと同義で、

魂が離れる=死を予感させるおぞましさが、人々の怖れの根幹にあったようだ。

生き霊となる原因は、その人の”想いの強さ”であるという。

その人にその意思がなくても、想いを寄せる相手のことを思うほどに、魂はそちらに行こうとする。

それが愛でも憎しみでも、強すぎる念はどこかしら、死の世界に近いところにあるのだろうか。

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