

もう1人の自分 生霊
生き霊の歴史は古い。 平安時代末期の今昔物語集、そこには生き霊が京に現れて人を殺す話が描かれている。 ある家の主人に捨てられた女が、生き霊となり現れ、その主人を取り殺す。 確認のために女本人の元を尋ねるが、女は確かに生きていたままだった。...


べっとべとの巨大海蛇 イクチ
その大きな体は数キロメートルにも及ぶ。 妖怪「イクチ」 海上の船を見つけるとその船に近づき通りすぎて行くのだが、 あまりにも長い体のため、通り過ぎきるまでに数時間かかるという。 イクチの身体中からはベトベトした油が染み出しており、これが通り過ぎる際に船の上に降り注ぎ、...


怪火の鳥 波山(ばさん)
ニワトリなどの鳥は、よく「鳥目」と言われるように、本来夜は目が効かないと言われている。 実は活動しないだけで、大体の鳥は見えているらしいが。。 つまり大体の鳥は昼間に活動するはずだが、 真夜中、寝静まったあなたの町・寝床のそばで、「バサ…バサ…」と羽の音がしたら。...


「梅花氷裂」より 金魚の幽霊
「藻之花の怨魂、金魚に着す」 江戸時代の浮世絵師、戯作者である”山東 京伝”による小説「梅花氷裂」に記されている妖怪である。 昔、現在の長野県である信濃国に、藻之花という女性がいた。 唐琴浦右衛門という子のいない家に迎えられ、妾として暮らしていたのだが、その家の正妻が嫉妬に...


二体一対の禁忌 おしら様
ある悲恋の話である。 岩手県は遠野市。今は昔、とある農家の娘がいた。 その家には農耕馬として大切に馬が一頭飼われていた。 娘は馬を大そう可愛がり、仲睦まじく暮らしていたが、次第に人間と馬という境も超え、 娘と馬は愛し合い、ついに娘は夫婦となることを誓うことになる。...


魅入られぬように 邪魅(じゃみ)
「邪魅は魑魅の類なり 妖邪(ようじゃ)の悪気なるべし」 中国の妖怪、邪魅(じゃみ)。 世にいう魑魅魍魎の「魑魅」とは、山や林から生まれる妖しげな空気より生まれる怪物のことだという。山林の中に息づく人ならざる者、顔だけ人間の姿をした半獣の生き物のことなどを指す。...


その子はどこに 隠し神(かくしがみ)
人間は完全ではないものだから、油断することはある。 もはや意識しなくてもできたこと、わかっていること。それら全てを網羅しできているつもりでも、 ふとぽっかりと、忘れ物をする。 そんな時はだいたい、その直前の記憶は鮮明で、 そこからある時間だけ記憶を喪失した感覚に襲われる。...


貝合わせ 貝児(かいちご)
トランプ、麻雀、オセロに将棋、今ではタブレットのアプリなどなど、テーブルゲームは星の数ほど存在する時代になった。 時は奈良平安の頃。 もちろんデジタルなど発達していなかった時代にも、貴族たちにはテーブルゲームに近いような嗜みをすでに持っていたようだ。...


武士の魂 鞍野郎(くらやろう)
馬の「鞍」の妖怪である。 平安時代末期の武将、鎌田政清という人がいた。 源義朝の乳兄弟として共に活躍していたが、六条河原の戦いで敗れ、落ち逃れていたところを舅の長田忠致という男にかくまってもらうが、 それが罠であり、忠致の裏切りのため騙し討ちに会い、殺されたという。...


非人道的存在 牛頭馬頭(ごずめず)
捕まったら最期。 あらゆる責め苦を受けさせられ、逃げることも叶わない。 死して体はまだ痛み、死んでは生き返り、繰り返す地獄…。 地獄の獄卒、「牛頭馬頭(ごずめず)」 体は人間だが頭が牛の姿をしている鬼「牛頭」と、 体は人間だが頭が馬の姿をしている鬼「馬頭」、二人のことを合わ...