

誰への 送り拍子木(おくりひょうしぎ)
火の用心、カン、カンという、日本人では皆が知っている拍子。 地域の自警団や消防団が今でも行なっている見回り。 秋冬になり、そろそろ聞こえてくる季節だろう。 さて、これは「本所七不思議」の一つ、現代でいう東京都は墨田区に伝わる怪異である。。...


一人っきりで 長壁姫(おさかべひめ)
姫路城の天守閣に隠れ住む、 奇怪な妖怪姫「長壁姫(おさかべひめ)」 その正体は狐とも、かつての王が愛人との間にもうけた子であるとか、築城の際の人柱である、とも言われている。 長壁姫は不思議な力があり、今後の運命をお告げとして城主に告げていたという。...


空へ行くには 以津真天(いつまで)
流行り病は、いつの世も恐ろしいものだ。 ワクチンや有効な治療法が見つからないままに人々が生と死の境をさまよっている…その頭上では、見たこともない怪鳥が飛び回っているかもしれない。 妖怪・「以津真天(いつまで)」。 その昔、疫病が流行して多くの死者が出ていた頃、毎晩のように貴...


死してから恨む 狂骨(きょうこつ)
”狂骨は井中の白骨なり 世の諺に 甚しき事をきやうこつといふも このうらみのはなはなだしきよりいふならん” 狂骨は井戸の中の白骨のことである。 方言で「きょうこつ」とは、激しさを意味するが、この狂骨の恨みの凄まじさからきている、という一文だ。...


ピリピリしてた 山姥(やまんば)
気がふれてしまった女性の果ての姿か、 巫女の姿か。はたまた、山の神なのか。 山姥(やまんば)と聞くと、どのような姿を思い浮かべるだろうか。 追い剥ぎをする、叫び声をあげて追いかけてくる、山で出会ったが最後、命を奪われ、肉を喰べられてしまう。。...


山に住む音 古杣(ふるそま)
ラップ音、という怪異がある。 家の誰もいない空間から、起こるはずもない破裂音や物を叩く音が鳴り続け、家主を悩ませるというものである。 ラップ音は、霊が”生前の行動を繰り返して”いるような音であるとも言われる。 ドアを開けるとか、壁やドアをノックする音、指を鳴らしたり歩いたり...


音への追憶 琴古主(ことふるぬし)
奏者に演奏されると、その楽器には魂が宿る。 その魂は奏者亡き後も生き続け、いつしか一つの生命となるようだ。 壊れた琴に宿る魂が妖怪となって現れたもの、「琴古主(ことふるぬし)」 すでに切れてしまった絃がザンバラ髪のようになり、その本体も木が腐っているのか、荒れてしまっている...


guilty 後眼(うしろめ)
後ろ暗い心を持っている人は、一見上手に生きているように見せていても、 その歩いた後ろから指をさされて噂され、悪口を言われている。 昔からの言葉にある「後ろの目」という言葉は、当の本人が気づかなくても、背後には世間の目がいつも光っていて、見られているのだよ、という意味だ。...


おーい 木霊
山に登った時、「おーい」と声をかけると、向こうから「おーい」と声が返ってくる。 いわゆる”山びこ”は、音が反射して返ってくるものと言われている。 しかし、時には自分の声と少し違う声で返ってくることも、あるという。 山びこは、妖怪の世界では木の精霊である「木霊」の仕業であると...


罪と罰2 姥ヶ火(うばがび)
西日本、特に河内(現在の東大阪)や丹波(京都北部)によく現れたといわれる妖怪「姥ヶ火(うばがび)」 およそ30センチほどの火の玉の姿で現れ、火の玉の中心は老婆の顔をしている。 この姥ヶ火に肩をかすめながら飛ばれた人は、3年以内に死ぬという。。...