

誰ぞ彼のものは 逢魔時(おうまがとき)
妖怪の話ではないのだが。 昼と夜が移り変わる、ちょうど陽が沈むが、夜ほど暗くもなっていない、黄昏時。 時の狭間とも言えるこの妙な時間を、「逢魔時(おうまがとき)」と言う。 この時間は読んで字のごとく、「魔に逢う時」だ。 人外のものと出会う確率が高い時間。昼間に寝静まっていた...


同じ死に方で生き返る 縊鬼(いき)
「いつき」、「くびれ鬼」ともいう。 中国では、「吊殺鬼(ちょうさつき)」「吊死鬼(ちょうしき)」とも言われている。 縊鬼は恨みを晴らすために、その対象者に取り付くのではなく、 「自分が生き代わるために」首をくくらせるという。...


私たちの業 犬神
「蠱毒」という呪術をご存知だろうか。 一つの甕の中に、サソリや毒蜘蛛などあらゆる虫を入れ、蓋をする。虫たちは互いに殺し合い、喰らい合い、とうとう生き残るのは最後の1匹となる。 その生き残った虫を祭壇に祀ることで力を得、人を呪い殺したり念願を成就させる、もしくはその毒を用いて...


最も恐ろしいもの のっぺらぼう
目は口ほどに物を言うという。 私たちが人と話すとき、脳内ではその言葉だけではなく、目の前の人の声色、表情を情報として汲み取って脳内で処理しているという。 人間だけでなく、ほとんどの生き物には顔があるはずだ。生きるために必要な機能だから、命のあるものは当然のようにその機能を受...


箱入り息子 覚(さとり)
心を相手に見透かされていたらどうだろう。 計略、猜疑心、虚栄心、自己愛、全てが相手に伝わっていたらどうだろう。 恥ずかしい?いや、それも超えて、きっと「震えるほど怖い」のだろう。 山で覚(さとり)に出会ったら、その覚悟をした方が良い。...


油断大敵 ひだる神
世間は夏休みに入りましたそうで。。 本日は、少しでも旅行気分を味わいたく、山で気をつけなきゃいけない妖怪について。。 その名も、「ひだる神」 登山やハイキングが趣味の方は、もしかしたら聞いたことがあるかもしれない、ひだる神。餓鬼の仲間とも言われ、このひだる神に取り憑かれると...


ありがとうございます 垢なめ
舌が長い、肌が緑っぽい、ちょっと奇抜な妖怪だが、 某アニメだと、非常に協力的で話が分かるイメージで非常にいいやつ、というイメージの強い妖怪です。 (アニメは各自、好きに見るべしです) 働きとしても、悪いことはしないのだ。イメージ通り、いいやつである。...


理由はないのか お歯黒べったり
夕闇迫る神社の通り、後ろ姿の美しい女性が立っている。 おや、こんな時間にどうしたのだろう、「もしもし、お困りか?」と尋ねた途端、くるっと振り返ったその女の顔は目も鼻もないのっぺらぼう。 口だけがある顔は、振り向くとニヤァと笑い、その歯は真っ黒、と、瞬間、女はけたたましい声を...


希望を残す者 件(くだん)
牛の体を持ち、顔は人面。 人語を操り、大きな災害や飢饉の前にその姿を現し、予言をするという。 その予言は100%的中するといい、そして時に災害を避けるための方法を伝えてくれる。 件の姿は、見ただけで人外とわかり、その姿はやはり恐ろしい。...


人か山の神か 天狗
全身真っ赤で、大きく、鼻が高い。 下駄を履いて空を飛び回り、悪巧みをして人を困らせる。 高い鼻は、慢心の象徴でもあるらしい。 山の大きな岩、中腹に開けた広場、そう入ったところは天狗の寝床であったり、足掛け場であったり、相撲をとった場所、と言われる。...