

福と暮らす 座敷わらし
誰もいないはずの廊下を、とことこと歩く音。 どこからか聞こえる、子供の笑い声。 視線の端に駆け抜ける、着物姿の小さな影。 おめでとう、吉兆に出会えたあなたよ。 福を呼び、その姿も愛らしい妖怪・「座敷わらし」。 主に岩手県などの東北各県に伝承が伝わる、子供の姿をした妖怪だ。...


となりのあまのじゃく 天邪鬼(あまのじゃく)
ひねくれ者、へそ曲がり、誰の心にもある意地っ張りな感情。 多少人生経験を積んでいれば、どうやら人間はそんなに素直なものではなく、大人になってもそれぞれ心にひねくれ者を飼っている、ということに気づくものだ。 人々が右といえば左を行き、左といえば右をいく。...


守らねばならぬもの 方車輪(かたわぐるま)
炎に包まれた片輪の牛車に、美しい美女が乗っている。 町中を夜な夜な徘徊し、ぼうぼうと燃える炎に その姿を見たもの、だけでなく噂話をしたものさえも祟られるという、妖怪・方車輪(かたわぐるま)。 その昔京都のある時期に毎晩のように方車輪が現れており、人々が外出を控えていた。...


友達になれるかな 山童(やまわらわ)
髪は赤く、鼻の上に目が一つある、全身が細かい毛に覆われている。 10歳ほどの子供の姿をした妖怪・山童(やまわらわ)。 西日本に多くその伝承は伝わっているという。。 山童は、牛や馬への悪戯をすることもしばしばあるが、山では木こりのお仕事を手伝ってくれる。...


膝下の旋風 鎌鼬(かまいたち)
歩いていると、突然につむじ風が吹き抜け、痛みもなく皮膚が斬られる。 ぱっくりと開いた傷口からは不思議なことに血がこぼれず、止まっている。。 妖怪・鎌鼬(かまいたち) イタチの姿をした妖怪で、旋風を巻き起こして 目に止まらぬ速さで通り抜ける。...


進化というか転生… 野衾
妖怪・野衾。 その姿はムササビやモモンガに酷似している。 実際のムササビやモモンガを「野衾」と呼んだとも考えられている。 しかし、ただ木から木へ飛び回り、木の実を食べる、可愛らしい動物…というだけではない。 さらに火を食べ、人を襲い、血を吸う獣だという。...


不安 狐憑き
昨日まで明るく挨拶をしていた人が、 ある日から突然別人のように変貌を遂げる。 性格が変わる、人相が変わる、服装、言葉遣い、時には夜間に徘徊し、叫び回る。 昔は、そうなってしまった人を「狐に取り憑かれた」と口々に言った。 狐は身近な動物でもあったが、今でも「お稲荷さん」が多数...


誘う花 古椿
赤く、非常に愛らしい花をつける椿。 花言葉は「控えめな素晴らしさ」。 椿は樹木であり、寿命は非常に長い。 江戸時代に入り武家屋敷が建てられた際には、数多くの椿が植えられたという。 年月を経て老いた椿の木には、精霊が宿り、人をたぶらかすという。...


はじまり ダイダラボッチ
国ひとつほどもある巨人。 神か、鬼か、果たして妖怪か。。 今私が見上げている山は、いつか彼が持ち上げて重ね合わせた地面で、数多くの人々が暮らす住宅街の密集する平地は、いつか彼が腰を下ろした場所だ。 ダイダラボッチ。 日本各地で伝承される”国づくり”の巨人、である。...