

その子はどこに 隠し神(かくしがみ)
人間は完全ではないものだから、油断することはある。 もはや意識しなくてもできたこと、わかっていること。それら全てを網羅しできているつもりでも、 ふとぽっかりと、忘れ物をする。 そんな時はだいたい、その直前の記憶は鮮明で、 そこからある時間だけ記憶を喪失した感覚に襲われる。...


貝合わせ 貝児(かいちご)
トランプ、麻雀、オセロに将棋、今ではタブレットのアプリなどなど、テーブルゲームは星の数ほど存在する時代になった。 時は奈良平安の頃。 もちろんデジタルなど発達していなかった時代にも、貴族たちにはテーブルゲームに近いような嗜みをすでに持っていたようだ。...


武士の魂 鞍野郎(くらやろう)
馬の「鞍」の妖怪である。 平安時代末期の武将、鎌田政清という人がいた。 源義朝の乳兄弟として共に活躍していたが、六条河原の戦いで敗れ、落ち逃れていたところを舅の長田忠致という男にかくまってもらうが、 それが罠であり、忠致の裏切りのため騙し討ちに会い、殺されたという。...


非人道的存在 牛頭馬頭(ごずめず)
捕まったら最期。 あらゆる責め苦を受けさせられ、逃げることも叶わない。 死して体はまだ痛み、死んでは生き返り、繰り返す地獄…。 地獄の獄卒、「牛頭馬頭(ごずめず)」 体は人間だが頭が牛の姿をしている鬼「牛頭」と、 体は人間だが頭が馬の姿をしている鬼「馬頭」、二人のことを合わ...


お山の大将 牛蒡種(ごぼうだね)
「憑き物」という災厄がある。 ある禁忌に触れてしまった者や、道理に背いた行いをした者、さらには自身が何をせずとも血筋などのために”降りかかって”くる恐ろしい呪いを言う。 その昔、 九尾の狐が化けた殺生石を源翁心昭という人が砕いた。...


網目のものなら何であれ 網剪(あみきり)
えび…ではないのだ。 ザリガニ…というわけでもないのだ。 妖怪・網剪(あみきり) この妖怪は蚊帳、ほしてある網を切り裂く妖怪である。 その姿通り、手にしたハサミで今にも何か切らせてくれ、というような様相である。 その昔、漁村での出来事。...


奪衣婆のサポート 懸衣翁(けんえおう)
三途の川を渡る亡者。 彼らの審判を行う、「十王」という存在がある。 十王は死者を地獄へ送ったり、六道輪廻への送り先を決める、大切な人事を担う人たちなのだが、 その中の一人に、懸衣翁という存在がある。 三途の川のほとりで亡者の服を剥ぎ取るという”奪衣婆”。...


足を長〜くして 高女(たかじょ)
あれあれとまとわりついて、 いなくなったかと思えば、思わぬところからヌゥと現れる。 神出鬼没な女性の執心というのは、しばしば男性の予想を超える。 妖怪・高女(たかじょ) 下半身が長く伸びて、下の階から女が現れている。 彼女の姿は遊女である。...