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希望を残す者 件(くだん)


牛の体を持ち、顔は人面。

人語を操り、大きな災害や飢饉の前にその姿を現し、予言をするという。

その予言は100%的中するといい、そして時に災害を避けるための方法を伝えてくれる。

件の姿は、見ただけで人外とわかり、その姿はやはり恐ろしい。

できれば会いたくはない…が、実は忌み嫌うべき存在ではない。

件は、牛から産まれるそうだ。

生きられるのは数日間で、その間に予言と助言を残してこの世を去る。

私たちに、災厄を教えるために産まれるだけの命。

この世の災害は、人災以外はほとんど、防ぐ手立ては少ないのだろうが、それでも避けられる方法はある。

やれることはまだあると、教えてくれる妖怪。

件のいるところに災厄あり、と言われて恐れられているかもしれないが、

反面、件がいるならば希望があるとも言えるのだろう。

一番救われないのは、件も現れずに、ただただ見過ごされて隠されるだけの、人災だったりするのだろう。。

最近めっきりこういった信仰がなくなったこともあるのか、件はもう出てきてくれない。

懲りずに何度も自業自得の災害を生んでいる私たちに、件も匙を投げたんだろうかと思う。

ところで、件と混同されがちな妖怪で、「牛女」という者がいる。

件とは逆で体は人間、顔だけが牛、女性ものの和服姿であるという。

件と違い、牛女は言葉を解さないと言われている。

災害が起こった場所にいて、死体を貪っていたとか、着物を着て踊っているそうだ。

血と災厄を好む妖怪。

件よりも、彼女の方が、今の世には居心地が良いのかもしれない。

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