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希望を残す者 件(くだん)
- magazine-yokai
- 2017年7月23日
- 読了時間: 2分

牛の体を持ち、顔は人面。
人語を操り、大きな災害や飢饉の前にその姿を現し、予言をするという。
その予言は100%的中するといい、そして時に災害を避けるための方法を伝えてくれる。
件の姿は、見ただけで人外とわかり、その姿はやはり恐ろしい。
できれば会いたくはない…が、実は忌み嫌うべき存在ではない。
件は、牛から産まれるそうだ。
生きられるのは数日間で、その間に予言と助言を残してこの世を去る。
私たちに、災厄を教えるために産まれるだけの命。
この世の災害は、人災以外はほとんど、防ぐ手立ては少ないのだろうが、それでも避けられる方法はある。
やれることはまだあると、教えてくれる妖怪。
件のいるところに災厄あり、と言われて恐れられているかもしれないが、
反面、件がいるならば希望があるとも言えるのだろう。
一番救われないのは、件も現れずに、ただただ見過ごされて隠されるだけの、人災だったりするのだろう。。
最近めっきりこういった信仰がなくなったこともあるのか、件はもう出てきてくれない。
懲りずに何度も自業自得の災害を生んでいる私たちに、件も匙を投げたんだろうかと思う。
ところで、件と混同されがちな妖怪で、「牛女」という者がいる。
件とは逆で体は人間、顔だけが牛、女性ものの和服姿であるという。
件と違い、牛女は言葉を解さないと言われている。
災害が起こった場所にいて、死体を貪っていたとか、着物を着て踊っているそうだ。
血と災厄を好む妖怪。
件よりも、彼女の方が、今の世には居心地が良いのかもしれない。
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