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最も恐ろしいもの のっぺらぼう


目は口ほどに物を言うという。

私たちが人と話すとき、脳内ではその言葉だけではなく、目の前の人の声色、表情を情報として汲み取って脳内で処理しているという。

人間だけでなく、ほとんどの生き物には顔があるはずだ。生きるために必要な機能だから、命のあるものは当然のようにその機能を受け取っているはずだ。

では、その機能がなく、表情が一切わからない生き物と相対したとき、自分は一体どうしたら良いのだろう。

顔がないという、生命体としてはあり得ない恐怖。そして意図が読めない怖さ。。

のっぺらぼうのメインストーリーは、非常にシンプルだ。

ある男が外出先で、眉も目も鼻も口もないのっぺらぼうに出くわす

驚いて一目散に家に逃げ帰る

家に着くとお嫁さんが「そんなに慌ててどうしたの」と聞くので、

のっぺらぼうに会ったのだと話す

お嫁さんが、「それは、こんな顔だったかい?」といって振り向くと、お嫁さんものっぺらぼうだった

気絶

やっとこさ辿り着いた心休まる家で、気を許した家族ものっぺらぼうだったら、

そりゃあ気絶するほどの衝撃だろう。

…しかし、

なんとなく、邪推だが、私は思うのだ。

本当にのっぺらぼうは、のっぺらぼうなのかな、と。

私たちの頭は、自分の理解を超えるものを見たとき、

防御反応として、無意識に記憶を飛ばしたり、視覚を操作して違うものに見せたりするのだそうだ。

もしかしたら、のっぺらぼうに会ったその男は、

まっさらな顔ではなく、もっとおぞましいものを彼らの顔に見たのかもしれない。

記憶から、視覚から消したくなるほどの何かを。

その顔を忘れているだけかもしれない。

最も恐ろしい妖怪の姿は、彼が忘れた記憶の中にだけ、存在しているのかもしれないと。

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