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同じ死に方で生き返る 縊鬼(いき)


「いつき」、「くびれ鬼」ともいう。

中国では、「吊殺鬼(ちょうさつき)」「吊死鬼(ちょうしき)」とも言われている。

縊鬼は恨みを晴らすために、その対象者に取り付くのではなく、

「自分が生き代わるために」首をくくらせるという。

自分と同じ死に方で人を死なせることで、自分がこの世に再生できるという条件を満たすらしい。

(つまり自らも首を括って死んだ魂の成れの果てだろう。)

縊鬼は、首をくくらせるよう人を操り、くくる時も下から足を引っ張って首吊りを手助けする。

ある旅人の男が、一軒の家に泊まる。

夜になると一人の女性がやってきて、何がしかの声を発しながら、紐を軒先にかけ、首をくくろうとしだす。

すると紐をかけている軒の上に何かがいて、首をくくろうとするのを幇助しているのを見つける。

旅人は慌てて紐を切り、無事女性を助ける。

また、別の話では、

酒の席に遅れてきた男が「首をくくる約束をした」といってしきりに帰ろうとするので、

皆で引き止めたところ、やがて落ち着きを取り戻す。

その後、別の人物が首を括ったとの知らせが入る。

縊鬼が一人目の男を待ちきれずに他のものに取り憑いたのだろう、という話だ。

取り憑かれた男に話を聞けば、道で「首をくくれ」と声をかけられたという。

傍目には大きな動機があるとは思えない人物が、突然命を絶つこともある。

また、取り立てて絶景があるわけでもないのに、自殺者が多発するといった場所には

縊鬼がいるのかもしれない。

縊鬼よ、自ら命を絶っても、やはり生きたかったのだろうか。

それともある縊鬼もまた、縊鬼に呼ばれたゆえ命を絶つことを強制されてしまった魂の姿なのだろうか。

死んでも死に切れず、生きたくてももう生きる体はない。

誰も彼もいつか「呼ばれる」ことがなければ良いのだが。

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