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いたいけな愉快犯 天井下り


犬や猫を飼っていると、上の方をついと見て、目で追ったり、鳴いたりすることがある。赤ちゃんが、ママの方ではなく、ぽっかりと空いた天井を見て、けたけたと笑う事がある。

そんな時は、振り向いたらいけない。

天井下りが現れているのかもしれないからだ。

天井下りは、長い髪を振り乱した醜い老女の姿であるという。

さらに、毛むくじゃらで、異様に長い胴体、そしてその顔は笑っている。

何より上からぶら下がってきているのに、顔は真正面を向いている、そのおぞましい異形さ。。

そうまでして、そんななりをして、驚かすだけだという。

天井から現れ、人をうわぁって騒がせて、消えていく、心臓に悪い妖怪シリーズの一人である。

何してんのおばあちゃん。。

はしゃがないでよおばあちゃん。。

悲しいことに、彼女は「美人にあらず」な者と言われてしまっている。。

なんなら絵にされてしまっている。

怖さの方を描いておくれよ、という天井下りの嘆きの声が聞こえてきそうだ。

というか、

そうなると、「老女」といわれているのも、ただの悪口なのかもしれない…。

ちょっと老け顔なだけの、ちょっと人より毛が多めの、いたいけな女の子かもしれないじゃない…。

それは辛い。あまりに辛い。そりゃ愉快犯にもなるわ。。

今は、綺麗な家屋が多いので、天井をあまり気にすることも少ないだろうか。

夜、古い和室に横になると、天井が妙に高く、やたら静かで、暗く見える。

まるで天窓あたりから、上の空間が別の世界につながっているような気がしたものだ。

天井裏に何かが棲んでいて、今にもそれが顔を覗かせようとしている。

彼女もまた有象無象がひしめく闇の中で、毎夜、こちらに出て来る機会を伺っているのだろう。

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