たんたん狸の 塗壁(ぬりかべ)
- magazine-yokai
- 2017年8月6日
- 読了時間: 2分

夜道を歩いていると、急に目の前に大きな壁が現れる。
おかしいな、こちらに道があったはずなのに、と行こうとしても壁である。
触っても押しても蹴っても何も起こらない。
神出鬼没な壁の妖怪。
「塗壁(ぬりかべ)」の登場である。
アニメ鬼太郎では要所要所に現れてくれて、敵を通せんぼしてくれる、
とても優しくて協力的な妖怪として描かれている。
(残念ながら、実際に現れる時は「ぬ~り~か~べ~」という声のサービスはないようだ。。)
塗り壁に遭遇した時は、蹴ったり、上を登ろうとするでもなく、下の方を棒などで払うと消えるという。
塗り壁は、狸が化けたものであるとも言われている。
陰嚢を目一杯に広げて道を塞いで壁のように立ちはだかる。
(衛生上、ちょっと、あんまり触りたくないので、言われた通り棒などを使おう。。)
また、両手で道ゆく人の目をふさいでいるという話もあるそうだ。
狸は人をからかうのが好きだ。
人がウロウロと暗闇を迷っている様はさぞ面白かったろう。
街灯が多い都会の街では、もはや昼も夜もなくなり、
漆黒の闇に包まれた路地などは、ほとんど見かけなくなってきている。
田舎の方に住んでいると、夜8時も過ぎれば、早いお宅は早々に明かりを消し寝床につくから、
街灯がない道の暗闇は、まさに黒い布を広げられたように何も見えない恐ろしさがあった。
そんな中、私は横着して懐中電灯などの明かりは持たないものだから、早足で、なるべく明るい道を帰ったものだ。
電灯などなかった時代、夜の闇を「壁がそびえ立っている」と思えたのも無理はない。
提灯を持っていたとしても、提灯は手元の明るさが際立ちすぎて、数メートル先はより暗さを増したであろうから。
その闇に乗じて、塗壁が現れていたことも、きっとあっただろう。
たまたま目撃された塗壁は、夜型の生活でちょっと眠かったのかもしれない。
表情がわかるくらいの薄明かりのところで、うっかり現れてしまったのかもしれない。
だからアニメなどに示される彼は、よく半目でとろんとした表情をしているのか。。
もしくはおっちょこちょい者の狸が「ちょっと眩しいな…」としばたいている目なのやも。
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