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惜しい二人 どうもこうも
- magazine-yokai
- 2017年8月11日
- 読了時間: 2分

絵巻に登場するだけの妖怪で、何をするかはわからない。
その姿は、1つの体に対して異なる2つの頭がくっついている。
どうもこうもは、元は「どうも」と「こうも」という、2人の人間であった。
昔「どうも」と「こうも」という名前の二人の医者がいた。どちらも、自分こそが日本一の名医だと名乗り、自慢していたそうだ。
二人はある日、「どちらが日本一の医者であるか」技を競い合うこととなった。
まず二人はそれぞれの腕を切り落として、それを元どおりに繋いで見せた。
二人ともその傷跡は、まったく残らず、勝負はつかなかった。
次に、お互いの首を切って繋ぐことにした。
二人は代わりばんこに互いの首を切り落として、元どおりに繋ぎ合わせたそうだ。
この勝負でも勝敗がつかなかった。
とうとう、代わりばんこではなく同時に首を切り、同時に繋ぐという勝負に出た。
二人は互いの首を同時に切り落とした。
しかし、二人とも首を失ってしまったので、誰も繋げられず、二人は死んでしまった。
この話から、結局何もならないことを「どうもこうもならない」と言うようになったそうだ。。
二人は死んだ後も、勝負を続けていたのだろうか。
それでも決着がつかなかったのだろう。
全く同じ技量を持った二人は、結局一つの体として妖怪になってしまった。
それでも互いを相入れずに、顔は二つに別れたまま一つの命となったのだろう。
描かれている表情から、性格は方やおしゃべり、方や物静かな人物だったのかもしれない。
しかし、結局どちらも負けず嫌いの似た者同士。
医術の他にもうひとつ、互いを認め合うという技量さえあれば、また違った最期を迎えられただろうに。
なんとも惜しい二人である。
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