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満たされぬ強欲 餓鬼


足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り。(老子)

もっといい食事を、もっといい恋人を、もっといい人生を。

飽食の時代とはいうものの空前絶後の大不景気、SNSではどこもかしこも自己アピールとうねるような羨望の眼差し。横を見ればきりがないがやっぱり自己の現状にも満足できず、足りない、足りないともがいている。

現代人は、全員死んだらこの妖怪になるのかもしれない。

最も醜い妖怪「餓鬼」である。

餓鬼は生前、強欲で嫉妬深く、常に貪りの心や行為をした人が死んで生まれ変わる妖怪で、

「餓鬼道」という仏教の六道の下から2番目の階層に身を落とした姿だ。

(ちなみに一番下は地獄道、罪人の行き場である)

その見た目は痩せ細って腹部のみが丸く膨れ上り、足の甲が浮腫んでいる。

餓鬼となってしまうと、その者は常に飢えと乾きに苦しむ。

しかし、目の前に食べ物があっても、手に取ると火に変わってしまうので、決して満たされることがない。

だが腹が減る、常に食べ物に群がるが、満たされない、満たされないのだ。

地獄の階層にこそ落ちていないが、餓鬼の状態は、地獄そのものであろう。

強欲は結局自分を苦しめる。

身の丈もわからず嫉妬に溺れ、あれもこれもと欲しがる人は、生きながらにしてこの地獄に足を突っ込んでしまっているのだ。

終わりのない渇望地獄。。

清貧とまでストイックにならずとも、己を知り、身の丈に合わせて、「強めて行う者は志有り」の言葉のように、意志を持って努力をし続けられれば。

餓鬼となる道は避けられるかもしれない。

いや、もしかしたらもう遅いかもしれないが。

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