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待てない鳥 陰摩羅鬼(おんもらき)


その姿は鶴に似て、体は黒く、羽を震わせて甲高く鳴く。

この世に存在しない怪鳥、「陰摩羅鬼」。

陰摩羅鬼は、新しい死体が十分な供養を受けず、化けて出たものとされる。

経文読みを怠っている僧侶のもとに現れるといわれている。

ある男が寺でうたた寝をしていると、自分を呼ぶ声で目を覚ました。

見るとそこには見たこともない怪鳥がいる。

男は驚いて逃げ出し、陰から様子を伺っていると、そのまま怪鳥は姿を消した。

寺の長老に尋ねると、新しい屍の気が陰摩羅鬼という怪鳥になると言われている、

先日寺に仮置きした死人が変化したのだろう、という。

江戸時代では、経文を読む=現代でいうとお葬式に当たるものだったようだ。

お坊さんがサボっていたのか、それともどうしてもスピーディーに供養というのも難しかったのか、

いずれ数日くらいは、どうしても待たなければならないことがあったのだろう。

この世とあの世のちょうど間にいる魂は、死んでからの成仏への順番待ちに耐えられなかったのだ。

陰摩羅鬼は、例えばフェニクスのような、美しい見た目ではない。

どちらかというと羽も未熟で、肉感が残り、生まれたばかりの鳥の雛のようだ。

不安定な魂は、小さな動物の気に混じりやすいというから、

順番待ちの中で、かわいそうに幼くして亡くなった鳥の魂とぶつかって混じり合い、陰摩羅鬼は生まれてしまったのだろうか。

それとも早くあの空へ行きたい、という苦しい思いが、鳥へと変化させたのだろうか。

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