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待てない鳥 陰摩羅鬼(おんもらき)
- magazine-yokai
- 2017年8月18日
- 読了時間: 2分

その姿は鶴に似て、体は黒く、羽を震わせて甲高く鳴く。
この世に存在しない怪鳥、「陰摩羅鬼」。
陰摩羅鬼は、新しい死体が十分な供養を受けず、化けて出たものとされる。
経文読みを怠っている僧侶のもとに現れるといわれている。
ある男が寺でうたた寝をしていると、自分を呼ぶ声で目を覚ました。
見るとそこには見たこともない怪鳥がいる。
男は驚いて逃げ出し、陰から様子を伺っていると、そのまま怪鳥は姿を消した。
寺の長老に尋ねると、新しい屍の気が陰摩羅鬼という怪鳥になると言われている、
先日寺に仮置きした死人が変化したのだろう、という。
江戸時代では、経文を読む=現代でいうとお葬式に当たるものだったようだ。
お坊さんがサボっていたのか、それともどうしてもスピーディーに供養というのも難しかったのか、
いずれ数日くらいは、どうしても待たなければならないことがあったのだろう。
この世とあの世のちょうど間にいる魂は、死んでからの成仏への順番待ちに耐えられなかったのだ。
陰摩羅鬼は、例えばフェニクスのような、美しい見た目ではない。
どちらかというと羽も未熟で、肉感が残り、生まれたばかりの鳥の雛のようだ。
不安定な魂は、小さな動物の気に混じりやすいというから、
順番待ちの中で、かわいそうに幼くして亡くなった鳥の魂とぶつかって混じり合い、陰摩羅鬼は生まれてしまったのだろうか。
それとも早くあの空へ行きたい、という苦しい思いが、鳥へと変化させたのだろうか。
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