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どうか笑顔で 小豆洗い


「小豆洗おか、人取って喰おか…」

川のせせらぎとともに、シャキシャキ、ショキショキと音が聞こえてきたら、すぐにその場を離れることだ。

加えてこの歌声が聞こえてきたら、それに気を取られているうちに川べりに誘導され、川の中へ落とされてしまうという。

小豆洗いは生前、法華宗の寺にいた小僧であるという。

彼は物を数えるのが得意で、小豆の数を一合や一升でも、言い当てていたそうだ。

お寺の和尚さんは彼を可愛がっていたが、それを妬んだ悪い僧が、彼を井戸に落として殺してしまった。

それ以来、殺された小僧の霊が夜な夜な雨戸に小豆を投げつけ、夕暮れ時には近くの川で小豆を洗って数を数えるようになった。

これが小豆洗いの誕生となったそうだ。

つまり彼は生前、小豆の数を当てるという(ちょっと変わった)能力があるくらいの悪意のない人物だったのに、不幸にも他人からの攻撃により、成仏しきれずに妖怪となってしまった悲しい存在である。

やりきれないまま亡くなったためか、唯一の得意技を、和尚さんが褒めてくれた特技を、繰り返し繰り返し今でも手放せずにいるのだろうか。。

生前お寺努めだったこともあるのだろうか、笑いながら小豆を洗っている彼を見かけると、縁起が良いとも言われる。

娘を子に持つ母親が小豆を持って川へ行き、小豆洗いに出会うと、娘は早く結婚できるという。

しかしこれも、諸刃の剣というか、一か八か、というか。

その時笑ってくれていたらいいが、出会った小豆洗いが笑顔もなく、「人取って喰おか…」と歌っていたとしたら。。

母親とそんな悲しい別れはしたくない。

どうか川辺の小豆洗いよ、今日もなるべく笑っていてくださいますよう。。

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