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孤独な食事 狐者異(こわい)


食欲は人を狂わせる。

「狐者異(こわい)」は、生前に他人の食べ物まで食べてしまうような者が、死後になってもその執着心を引きずって妖怪となってしまった姿であるという。

死してもなお、人ではない姿になってもなお、食べ物を求め続ける浅ましさ。

彼の食欲は尽きることなく、人の物を奪い、ときに死肉すら口にする。

しかしすぐ腹が減るのだろう、満たされず、満たされず、いつまでも目を血走らせながら彷徨い歩き、隙を見て食べ物を奪い続けようとするのだ。

狐者異は生前から、自己中心的で非常に驕慢、神をも恐れぬ無法者で無分別者であった。

なにも恐れず食物をただ奪い、それでいて性格は疑い深く、誰を信用することもなかった。

現在の「怖い」の語源であると言われる狐者異だが、分解すると”狐のように疑い深い異形な者”となる。

彼の悪性は、仏法や世法の妨げをなす、として仏からも嫌われると言う。

妖怪となっても特殊な能力で人を襲うわけでもなく、

生前と同様、亡者の姿で食べ物を求め続けるだけの存在。

「因果応報」、「身から出た錆」、「自業自得」…全て当てはまるような生き様だが、

一体いつから、彼は狐者異になる運命を抱えてしまったのだろう。

信じる者もいなく、何のために生き、何のために食べていたのか。

可哀想に、どれだけ食べていてもお腹が満たされることは永遠にないのだろう。。

彼に、誰かと一緒なら、一杯のお味噌汁だけでも十分満たされるのだよ…と、いつか教えてあげたい。

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