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早朝にらめっこ 目競(めくらべ)


目競は、平清盛が遭遇した妖怪と言われている。

ある朝、清盛が中庭を見ると、そこには死んだ者の髑髏が無数に転がっていた。

その髑髏らは、驚くべきことに上に下に、左に右にと動き回っていた。

髑髏はそのうちに一つの大きな塊となり、やがて40メートル以上の巨大な髑髏となった。

彼らはそこから、無数の目で清盛を睨みつけた。

それを受けて清盛も意を決し、髑髏の目を思い切り睨み返した。

すると、その大きな髑髏は日の光に溶けるように、跡形もなく消え去ってしまったという。。

乱世を生き、やがて武家政権を築き上げた平清盛だが、あらゆる血を受け、人々の思いを受け、多くの人から恨まれもしただろう。

果たして、その報われない死霊たちが彼の元にやってきたのだろうか。

そして清盛は、人外の脅しにも屈せずに立派に睨み返したのだ。

その心意気は、やはり大物なお方、見事である。

最初に清盛が目競を見たとき、彼は大声で人を呼んだが、誰も来ることはなかったという。

朝とはいえ、まるで逢魔時のように、ぽっかり空いた夜と朝の狭間。

そこにうっかり足を踏み入れてしまった清盛の前に、ひょっこりと目競は現れたようだ。

激動の時代、明日の自分がどうなっているかすらわからない毎日。

私たちが奇妙な体験をする時は、不安定な世界に足を取られ、自らあちらの世界に迷い込んでいる時かも知れない。

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