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骨まで愛して 骨女
- magazine-yokai
- 2017年9月7日
- 読了時間: 2分

いつ頃からか、「恋愛体質」という言葉が出始めた。
すぐ好きになる。
恋に一途である。
愛情が止まらない。
そんなイメージがある。
女性は感情の起伏が激しく、わがままで、自己愛も強く、あれこれと男を振り回すが、
それもまた、女性の愛すべき魅力の一つともいえる。
男性はそんな彼女に翻弄されながらも、気づけばその女性に夢中になってしまうというのが、世の常である。
「骨女」
ある女の骸骨が、牡丹柄の入った提灯を持ち、生前好いていた男の家に行き毎晩のように交わる。
男の目には女性は美しい女性に見えていて、その正体が骸骨であるとは気づかないが、ある日隣人がそれを見ると、男が骸骨が抱き合っている奇怪な姿であった。
骨まで恋愛一色に染まった骨女の力は、
まるで幻想のような世界を作り上げたのだろうか。
本来骨であるはずの手触りも理想的な触感となるよう、彼女の力が男の五感を狂わせたのだ。
このあと、隣人が女の正体を伝えて、初めて男性は恐怖を覚える。
家の門に魔除けの札を貼り、2ヶ月弱無事に過ごしていたが、次第に恋しさが募り、
ある日とうとう骨女と会い、会うと二人は手を取り合い、どこかへ歩いて行ってしまった。
これを見た友人が家族を呼び、後を追い、駆けつけたところ、
男は女の墓にすでに引き込まれており、息を引き取っていたという。
無事、骨女の念願成就、といったところであろうか。
大好きな人と一緒に愛しあえて、そして同じお墓にも入れた。最高の最期だろう。
しかしその思いも、男やその友人家族からすると、呪いに他ならないと見えるが。
いや、男はそれでも、骨でも好きな女と一緒にいられて良かった、と思うのだろうか。
骨女と知りながらそこまで思えるならば、その男も立派な恋愛体質だ、と落ち着く話なのかな。
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