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クイックル的な… 天井嘗(てんじょうなめ)


和室で寝ると、天井が気になる。

木目なのかシミなのか、二つの目と口が顔に見えるシミがある。

「そう見えるだけだから気にするな」と親に叱られ、無理やり目を瞑るのだが、薄い豆電球の明かりの中、じわじわと、あの木目から顔が浮かび上がってくる気がする。

嫌な気持ちを抑えながら、なんとか寝て、朝を迎える。

しかし数日経つと、気のせいかシミが濃くなってきている気がする。

いや気のせいか、気のせいだ…。

誰でも小さい頃そんな気持ちで過ごした日が、少しくらいはあると思う。

そう、大体は気のせいだろう。

しかし、中にはこいつの仕業によるシミも、あるのかもしれない。

妖怪「天井嘗(てんじょうなめ)」。

特徴は長~い舌である。

その舌で天井についている誇りを舐める妖怪で、天井の他にも、柱や壁も舐める。

天井嘗が舐めたあとは、シミがついて汚れてしまうという。

この天井嘗につけられたシミが、怖い化け物や人間の顔に見えるので、それを寝床から見つけた人は恐怖に駆られるという。直接な被害ではないように思うので、笑い話にもなりそうだが、恐ろしさから発狂して死んだ人もいたというのだ。

とはいえ、ある武士が天井嘗を捕まえ、城の天井の蜘蛛の巣や汚れを、なめさせて大掃除をさせたという話があるという。

彼のように恐怖心さえなければ、斬新なお掃除便利グッズとしても使えるよ!という、

まぁ…そこまでがっつり活用せんでも…という話ではあるが、いずれ、悪気がある妖怪ではないのだ。

天井嘗とそのシミを、どこまでの恐怖として感じとるのかは、人間の想像力次第だ。

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