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お化けなんてないさ♪ 加牟波理入道(かんばりにゅうどう)


昔ながらの民家は、夜が深くて暗い。

どうしても我慢ができなくて厠に行くが、離れにある厠の不気味さといったら。。

昼間の明るさが嘘のように感じられ、静まり返った我が家は、家族以外にも誰かが潜んでいるような気がして、トイレのドアを開けるのもためらう。

なんとかして用を足している時に、ふと顔を格子窓に向けると、そこにはなんと不気味な、「加牟波理入道(かんばりにゅうどう)」が現れる。

厠に現れる妖怪で、口から鳥を吐き出すという。

なにその和み要素…とも思うが、用を足している時に、人ならざるものに見つめられ、それが口から鳥をバサバサ吐き出していたら、意味がわからなくてこれはこれで恐ろしい。

この妖怪に現れないようにするためには、大晦日に「がんばり入道ほととぎす」と唱えると良いという。

ところが一方で、江戸時代の辞書では、大晦日に「がんばり入道ほととぎす」の言葉を思い出すのは不吉とされ、果たしてこの呪文が唱えていいものなのか、誤りなのかは、ほぼ賭けに近いようだ。。

手のひらに人という字を三回書いて飲む、などのまじないにあるように、何か怖いものと向き合うときに、自分の心をなるべく平静に持って行くための方法はいくつかあったほうが便利だ。

厠へ行く恐怖心を紛らわすために、呪文を唱えるのはいい手段だ。

夜分は「お化けなんてないさ お化けなんて嘘さ」と歌うこともできないし。。

加牟波理入道は、そんな当時の子供が想像した”トイレにいたら恐ろしいお化け”の姿なのかもしれない。

”厠”と”鳥”と”入道”という突飛な出現の仕方は、チャーミングでいて脈絡がない、かわいい子供の作文みたいだ。

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