嫌われ者界の絶対王者 火間虫入道(ひまむしにゅうどう)
「働かざる物食うべからず。」
働こうとしないなら、食べるものはない、もはや使われすぎた言葉だが。
いつの世もできる限りダラダラとしようとする人はいる。
驚くほど、ダラダラするためには努力を惜しまない、怒られようが嫌がられようが生き方を貫く…
そんな妙に筋の通った怠け者は今も昔もいる。
火間虫入道(ひまむしにゅうどう)は、そんな生粋の怠け者が、ついに妖怪となってしまった厄介なやつだ。
ただだらけているだけであれば、特に実害はないのだが、そうではない。
人が一生懸命夜なべしているところに、床下から不意に現れて、行灯の火を消したりして邪魔をする、超迷惑なやつである。
さらに、行灯に使われた魚油を隙あらば舐めにくるのだという。
縁の下から現れ、人の邪魔をし、さらに行灯の油をねぶる。。
迷惑。超迷惑。いいところがひとっつもないやつだ。
まさに害虫のような妖怪だが、その通り、火間虫入道は”ゴキブリの化身”ではないかという説もあるそうだ。残飯を狙い、油を好み、人の目の届かない場所へ消えて行く。。
闇に紛れ捕まえられず、だが確実に潜んでいる。
今も昔も、人間と火間虫入道との戦いは、未だに決着が付いていない。
片や害虫、片や坊主の知らないおっさん。。
どうであれ、どの姿であっても部屋に現れないことを祈るばかりだ。