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罪と罰2 姥ヶ火(うばがび)
- magazine-yokai
- 2017年9月21日
- 読了時間: 2分

西日本、特に河内(現在の東大阪)や丹波(京都北部)によく現れたといわれる妖怪「姥ヶ火(うばがび)」
およそ30センチほどの火の玉の姿で現れ、火の玉の中心は老婆の顔をしている。
この姥ヶ火に肩をかすめながら飛ばれた人は、3年以内に死ぬという。。
この姥ヶ火、元はある老女が枚岡神社という東大阪にある神社から灯油を盗んだことで、祟りを受けたことにより、このような姿となったのだという。
油を盗むと妖怪化してしまう話は油赤子の回でも、出てきた。
物を盗むことはもちろん罪深いので、何かしらの罰や祟りを受けることは頷けるが、中でも油に関係する罪は、即妖怪になり、油の周りに集まる習性を持つようになるのだろうか。
そして妖怪となった彼らは、その変わり果てた姿で、
火をまとい、火を求め、油を求め、無為に目的も定まらぬまま彷徨い続ける。
そうならないよう、人々は自分を戒め、油を狙われないように少しづつ気を使って消費していたのだろう。
やはり当時は油が貴重で、人々が大切に使っていたのだろうということをうかがい知れる。
電気つけっぱなし可能な現代では(電気も貴重な資源なのだが)油のように目減りしていくものではないし、電気泥棒というものもなかなか現れない。
節約、という言葉以外に自分を戒めるきっかけも、使いすぎによる怪異に怖がることもないのだ。
便利さと引き換えに、妖怪への出会いも無くしてしまったようで、少し寂しくはある。
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