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一人っきりで 長壁姫(おさかべひめ)


姫路城の天守閣に隠れ住む、

奇怪な妖怪姫「長壁姫(おさかべひめ)」

その正体は狐とも、かつての王が愛人との間にもうけた子であるとか、築城の際の人柱である、とも言われている。

長壁姫は不思議な力があり、今後の運命をお告げとして城主に告げていたという。

反面、人間を嫌って天守閣に閉じこもっていた。

天守閣に人が近づくのは禁忌とされ、その顔を見たものには死が訪れると言われていた。長壁姫の言うことを聞かずに、叱り返した阿闍梨(すごいお坊さん)は、蹴り殺されてしまったと言う。。

長壁姫は”刑部姫”とも書かれるが、そんな刑部姫にまつわる昔話がある。

ある夜、城の天守閣に住む物の怪の噂を聞きつけ、肝試しにと皆が騒いでいたが、結局誰も怖気付いて登ろうとしなかった。そんな中雑用を務めていたある武家少年が名乗り出て、その正体を見んとして上へ上へと登りはじめる。

少年は天守閣の一番上までの戸口を開けた途端、その扉に閉じ込められてしまう、と、同時に火の玉が飛び交い、髪の長い女が現れた。

その顔は目がつり上がり、年の頃は30~40代で恐ろしい形相で「何しに来たのか」と問う。

少年が正直にことの成り行きを説明すると、女は少年の素直さに感心し、宝物庫にある宝の一つを渡し、

二度と来ないようにと告げ入り口まで吹き飛ばして追い返したという。

女にもらった宝は、殿様だけが知る天守閣の奥にしまっていた宝物の一つであり、

肝試しの証拠として少年の話は真実であると信じられた。

人を嫌い憎みながらも、城を守り続けた長壁姫。

恵まれなかった境遇から、人間に心を開けなかったのか。

立派なお城の奥部屋で、彼女が本当に乞うて欲していたのは、きっとあの少年のような素直な心だったのだろう。

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