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気まぐれ愉快犯 朱の盆(しゅのぼん)


真っ赤な顔に一つ目の恐ろしい妖怪である。

この朱の盆(しゅのぼん)に会うと、魂を抜かれるという。

その昔、越後へ旅する二人の男が、道に迷い日も暮れ困っていた。

そこに1軒の古びた家があり、老婆が住んでいたのを見つけ、一晩泊めてもらえるようお願いをする。

老婆は快諾し二人をもてなすが、夜、一人は長旅ゆえか深く眠ってしまい、もう一人は寝付けず様子を見ていると、

その家の老婆の舌が伸び、眠っていた男の頭を舐めまわし始めた。

その光景を気味悪く見ていると、外から「舌長姥、なぜ早くやらないか」という声が聞こえた。

老婆が声の主に誰かと問いかけると、「朱の盆(しゅのぼん)だ」という。

朱の盆は手伝おうかと言って入ってきて、その姿は真っ赤な顔をした大きな坊主であったという。

男がとっさに刀を抜いて斬りつけると、朱の盆は消え失せ、また、舌長姥と呼ばれていた老婆も、

もう一人の男を抱えて外に飛び出して逃げてしまった。

その途端に、先ほどまでいた家も消えてしまったという。

翌朝、明るくなってからあたりを見ると、連れ去られた男が、全身の肉を舐め取られて白骨となっていたという。。

この話に見るに、どうやら朱の盆は神出鬼没で、つかみどころのない妖怪だ。

(舌長姥宅では初見だった様子を見ると、基本的に単独でいるのだろう。)

なぜ早く舐めろと急かしたのか。

最終的に獲物を結局は舌長姥に譲っているところを見ると、目的型というよりは愉快犯型に近いような気がする妖怪だ。

いずれ眠っていると思われていたから男も斬りつけに成功したが、気取られなくてよかった。

謎が多いだけに、あまり出会いたくはない妖怪だ。

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