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純愛 蛇骨婆(じゃこつばばあ)
- magazine-yokai
- 2017年10月2日
- 読了時間: 2分

「もろこし巫咸国(ぶかんこく)は女丑の北にあり
右の手に青蛇をとり
左の手に赤蛇をとる人すめるとぞ
蛇骨婆は此の国の人か
或説に云 蛇塚の蛇五右衛門(じゃごえもん)といへるものの妻なり
よりて蛇五婆(じゃごばあ)とよびしを 訛りて蛇骨婆といふと」
かつての中国大陸に、右手に青蛇、左手に赤蛇を持っている人がいた。
この人こそ「蛇骨婆」か。という一文だ。
ある話によると、蛇塚の”蛇五右衛門”という男性の妻であった。よって、蛇五婆(じゃご婆)という呼び名が訛って、蛇骨婆というようになった。
蛇骨婆は、山の奥に住んでいる。
右手の青い蛇は人を凍らす力を、左手の赤い蛇は人を炎で焼き尽くす力を持っており、
その二匹を操るという。
蛇骨婆の夫である蛇五右衛門は、蛇の妖怪であったが人間によってある塚に封印されたという。
妻である蛇骨婆は、その塚を守り、近づくものはその両手の蛇を使い脅かすという。
夫のそばで、夫を守り続ける献身的な奥さんであるが、
今となっては通り名のみで、本当の名もわからない。
蛇骨婆と呼ばれる前、妖怪となる前、愛してしまったのが蛇の妖怪だったという、蛇五右衛門・夫だったのだろうか。
人と蛇、いや人と妖怪という垣根を超えて、今もなお夫のそばを離れない。
見事な一途、あっぱれな、奥様だ。。