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骨の音 がしゃどくろ


身内の葬儀などで遺骨を見た人は、たくさんいるだろう。

骨となっても個人の体であり、魂を扱うことには変わりがないのだから、それなりの作法と手順を持って骨壷に納める。

割り箸で掴んだ遺骨は、その存在の重大さに反して、思っていたよりもカラカラと軽い音を立てるものだ。

だが怨念が伴った骨の音は、もう少し重く、低く、まるで鎧のような音を立てるのかもしれない。

妖怪「がしゃどくろ」は、道中で野たれ死んだもの、または戦争によって命を落とし、

いずれも満足に供養も受けられず、丁重な埋葬もされなかった者たちの怨念が骸骨として寄り集まり、

巨大な一つの骸骨となって現れた姿だ。

人の寝静まった夜中、ガチ、ガチと音を立てて彷徨い歩くといい、

生きている人間を見つけると襲い掛かり、握りつぶして食べるのだという。

怨念とは不思議なものだ。

必ずといっていいほど暗く、黒く、そして重い。

強くなるほどに、物質の道理を超えてゆく。

怨恨ゆえにその骨はずっしりと重く、鉛が集まったかのような存在感を持つ骸骨たち。

そうしてがしゃどくろとして過ごし、また新たな犠牲者を取り込み続けるのだ。

そうして続いてしまう限り、いつになってもがしゃどくろから、

カラカラという明るく軽い音は聞こえることは無いだろう。

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