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骨の音 がしゃどくろ
- magazine-yokai
- 2017年10月5日
- 読了時間: 2分

身内の葬儀などで遺骨を見た人は、たくさんいるだろう。
骨となっても個人の体であり、魂を扱うことには変わりがないのだから、それなりの作法と手順を持って骨壷に納める。
割り箸で掴んだ遺骨は、その存在の重大さに反して、思っていたよりもカラカラと軽い音を立てるものだ。
だが怨念が伴った骨の音は、もう少し重く、低く、まるで鎧のような音を立てるのかもしれない。
妖怪「がしゃどくろ」は、道中で野たれ死んだもの、または戦争によって命を落とし、
いずれも満足に供養も受けられず、丁重な埋葬もされなかった者たちの怨念が骸骨として寄り集まり、
巨大な一つの骸骨となって現れた姿だ。
人の寝静まった夜中、ガチ、ガチと音を立てて彷徨い歩くといい、
生きている人間を見つけると襲い掛かり、握りつぶして食べるのだという。
怨念とは不思議なものだ。
必ずといっていいほど暗く、黒く、そして重い。
強くなるほどに、物質の道理を超えてゆく。
怨恨ゆえにその骨はずっしりと重く、鉛が集まったかのような存在感を持つ骸骨たち。
そうしてがしゃどくろとして過ごし、また新たな犠牲者を取り込み続けるのだ。
そうして続いてしまう限り、いつになってもがしゃどくろから、
カラカラという明るく軽い音は聞こえることは無いだろう。
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