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神様の気遣い 白粉婆(おしろいばばあ)


白粉婆(おしろいばばあ)は、奈良県に伝わる妖怪だ。

その姿はひどく腰が曲がり、ボロボロな大きな傘をかぶって歩いている老婆の姿だ。杖をつき、徳利を持っている。

鏡を引きずり、ジャラジャラと音を立てて姿を表すという。

その顔一面に白粉を塗りたくっているのだが、その塗り方がひどく雑な上に厚ぼったく、その異様な顔面に恐ろしいものを感じるという。

このように、山姥の一人であろうかという恐ろしい形相の白粉婆だが、

その実妖怪ではなく、神の化身かもしれないのだ。白粉婆の伝承として、以下のようなものがある。。

天文(1532年~1555年)の時代、戦乱の世をよくするために、長谷寺というお寺のお堂いっぱいに、本尊である観音菩薩を描くことになった。

全国から画僧が集まったが、将軍家の軍勢が穀物を根こそぎ奪っていってしまった。

画僧たちが食べるものがなくなったのではと不安がっているところ、寺の小僧が「観音の救いによって食事の支度ができる」と告げた。

小僧の案内で見に行くと、一人の娘が米を研いでいた。

その娘が一粒だけ残った米を水につけると、桶いっぱいに米が膨れ上がり、それをさらに研ぐと米がどんどん増えていたという。

この娘の顔を見たいという気持ちにかられ、一人の画僧が小石を投げつけたところ、

後光が差して娘は顔を上げた。

その顔は白粉を塗っていたが、画僧たちのために苦労を重ねたため、シワだらけで老婆のようになっていたという。(しかしその時は、あまりのありがたさに皆ひれ伏しており、娘のその顔に気づいたものはいなかったというが。。それはどうなのだ。。)

現在でも、長谷寺の境内には白粉婆のお堂があるという。

刻まれたシワは、人間のために尽くしてくれた証なのだ。

その苦労さえも、あまり目立たせないように、化粧下手な神様が気を使ってくれていたのだろう。

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