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学び忘れ繰り返す 禍(か、わざわい)


君子危うきに近寄らず。

教養があるものは自ら危険な物事には近づかない、という言葉だ。

しかしその学びの礎となるには、過去の失敗を知らなければいけない。

どんな学びも一番初めに、大きな失敗を経験した人がいる。

その昔、争いも災厄もない平和で豊かな国の王がいた。

ある日、「禍(わざわい)というものがこの世にはあるらしい、見てみたい」といい、これを家臣に買って来させた。

家臣たちは命令どおり探索を開始し、ある市馬で「禍母(かぼ)」と呼ばれる、”禍を生む”という大きな猪に似た生き物を買ってくる。この生き物は一日に針を一生エサとして食べるため、国民は毎日針を納めなければならなくなり、次第に疲れた国民は国から逃げていってしまう。

家臣は禍母を殺そうとしても体が硬くて刀ではどうしても殺せない、火をかけて焼き殺そうとしたが、火のついたまま禍母が城や市街を駆け回り、あちこちを燃やし尽くし、国が滅んでしまったという。

これから、わざわざ自分から悪事を招き入れることに、「市(いち)に禍(わざわい)を買う」という。

禍母を売っていた商人は天の神の化身であったという。

禍の扱いを、無知な人々に教えるためにあえて与えたのだろうか。

災いはそれが起きて初めて恐ろしさを知り、そこからどう学び、扱いを覚える、というところまでが大切だ。「危うきに近寄らず」も大切なことだが、危うい危ういと思い万事から距離を置いてしまったら、

いつか直面した時に、対応策が見つからないという自体になりかねない。

禍母を買った国の人々が生き残っていれば、いかに禍の恐ろしいものかを知り、二度と近づきはしないだろう。

しかし時が経ちこの悲劇を忘れた頃に、またしても禍母をわざわざ買いに行く人間は、現れてしまうのだろうか。

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