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ふっ 火消婆(ひけしばば)
- magazine-yokai
- 2017年10月20日
- 読了時間: 1分

夜に白熱灯の明かりは心地よい。
先祖は長らく夜を昔ろうそくで過ごしたのだから、きっとその名残だろうか。
そんな私たちに丁度いい明かりも、闇夜に隠れ人外に暮らす妖怪たちにとっては、眩しすぎるものでもあるのだろう。
宴会の会場、提灯など、誰もいないのに灯していたろうそくが突然消えることがあった。
そんな時は「火消婆(ひけしばば)」が現れて、息を吹きかけて火を消しているのだと言う。
暗闇に住まう妖怪たちにとっては、炎の明るさは心地よいものではないということで、火消婆が彼らへの好環境をキープしてくれている。マメに。
宴会場のろうそくを人間が消し忘れていても、代わりに消してくれる。
人間たちが活動している間は、そっとそれを見守り、
頃合いをみてろうそくを消して回る。
ちゃんと提灯の明かりも逃さずに消していく、なんとも細やかで優しい女性だ。
現代ではろうそくだけで暮らすご家庭はもうほとんど存在しないだろう。
火消婆がふっと息を吹きかけても、白熱灯は消えることはない。
彼女が何度も何度もふー、ふーと電球を吹き続けてはいないのだろうか。少し心配だ。
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