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子の重さ 産女(うぶめ)
- magazine-yokai
- 2017年10月21日
- 読了時間: 2分

母親となる女性は、十月十日、我が子を無事に生み、その腕に抱くためにその日々を過ごす。
この世界のいたるところで起きていることだというのに、その凄まじさは、一人一人の体験を聞くと想像を超えるような大変な日々を過ごされている。
命をつなぐということは、そんなにも難しく、しかし日常でもあるのだ。それと等しく、命を落とすことも、大変なことでもあり、当たり前のことでもある。。
亡くなった妊婦をそのまま埋葬すると、
「産女」と呼ばれる妖怪になる。
日本各地の地方で、妊婦が子供が生まれないまま亡くなってしまった場合は、お腹を裂いて胎児をとりだし、母親の遺体に抱かせて埋葬するべきものと言われていた。
そのためか産女の伝承は日本各地に存在している。
現れ方は一つではないようだが、代表的な例としては、
男性が海沿いの道を1人で歩いていると、1人の女が現れ、「この子を抱いていてください」と赤ん坊を差し出し声をかける。
快く応じてその子を抱くが、いつまでたっても女が子供を引き取らず、さらに子供がどんどん重くなる。
耐えきれず子を抱くその手を放してしまうと命を奪われるが、最後まで耐え抜いた者には、怪力が授かるとか、宝が渡されることもあるのだという。
その子供の重さは彼女の想いそのものか。
誰より子供を守りたかった気持ちを伝えたいのだろうか。
そして、その子を自分と同じほどに支えようとしてくれる誰かと一緒に、暮らし、守って生きたかったのか。
望み叶わず、誰も答えてやりきれない。悲しい妖怪だ。