検索
悲しきモンスター 経凛々(きょうりんりん)
- magazine-yokai
- 2017年10月31日
- 読了時間: 2分

言葉に魂が宿る「言霊」と同じように、
ありがたいお経にも魂が宿る。
はたまたそれを記した経文自体も命を宿すことがあるのだろうか。
経文の妖怪、「経凛々(きょうりんりん)」
「尊ふとき経文のかゝるありさまは、
呪詛諸毒薬のかえつてその人に帰せし
守敏僧都(しゅびんそうづ)のよみ捨てられし経文にやと、
夢ごゝろにおもひぬ。」
”ありがたい経文が妖怪と化してしまった姿は、
まるで呪詛や毒薬がかけようとした術者の身に帰ってきたようで、それは守敏という僧が読み捨てた経文のようだなと、ぼんやり思いました。。”
と言った感じの一言が添えられておりますが、
この守敏という僧は、あの有名な空海と喧嘩したという僧侶のことで、
ざっくりというと、二人はライバルでした。
守敏がみんなの前でかっこいいところを見せようとした時に、空海がお経で邪魔をしてきたことがあるらしく、以来二人はバッチバチの状態だったのです。
ある時、天皇からの勅命を巡って二人が法力比べをしたところ、
力の拮抗していた二人はなかなか勝負がつかず、空海は一計を案じ、死んだふりをして守敏を油断させ、隙をついて勝利することとなりました。
守敏はこれを恨み、今度は空海に呪いをかけようとして、逆に返され、命を落としてしまうのです。。
経凛々は、その守敏が呪詛をかけようとした経文のようだ、と。
使い道を間違えた大切なお経が、寂しい命を宿した姿であったのです。
Comments