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悲しきモンスター 経凛々(きょうりんりん)


言葉に魂が宿る「言霊」と同じように、

ありがたいお経にも魂が宿る。

はたまたそれを記した経文自体も命を宿すことがあるのだろうか。

経文の妖怪、「経凛々(きょうりんりん)」

「尊ふとき経文のかゝるありさまは、

 呪詛諸毒薬のかえつてその人に帰せし

 守敏僧都(しゅびんそうづ)のよみ捨てられし経文にやと、

 夢ごゝろにおもひぬ。」

”ありがたい経文が妖怪と化してしまった姿は、

まるで呪詛や毒薬がかけようとした術者の身に帰ってきたようで、それは守敏という僧が読み捨てた経文のようだなと、ぼんやり思いました。。”

と言った感じの一言が添えられておりますが、

この守敏という僧は、あの有名な空海と喧嘩したという僧侶のことで、

ざっくりというと、二人はライバルでした。

守敏がみんなの前でかっこいいところを見せようとした時に、空海がお経で邪魔をしてきたことがあるらしく、以来二人はバッチバチの状態だったのです。

ある時、天皇からの勅命を巡って二人が法力比べをしたところ、

力の拮抗していた二人はなかなか勝負がつかず、空海は一計を案じ、死んだふりをして守敏を油断させ、隙をついて勝利することとなりました。

守敏はこれを恨み、今度は空海に呪いをかけようとして、逆に返され、命を落としてしまうのです。。

経凛々は、その守敏が呪詛をかけようとした経文のようだ、と。

使い道を間違えた大切なお経が、寂しい命を宿した姿であったのです。

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