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その風の行き先 精霊風(しょうろうかぜ)


縁起でもないものを嫌い、塩を撒き、

暗い場所には近づかない。

「あっちへ行け」「しみったれた顔してんじゃないよ」

と、多少乱暴であっても、昔の人ははっきりと「陰気なもの」は忌むべきものとして扱い、生きていた。

今や陰も陽も渾然一体となり、道中のどこかに隠れ潜む邪気に当たらぬよう、

マスク越しに息を止めながら生きているような現代。

「精霊風(しょうろうかぜ)」はおそらく私たちの上空で、ぐるぐると今も渦巻いてる。

この精霊風は盆の16日の朝に吹くと言われている。

死人の魂をこの風が運び、この風に当たると急病になるなどの災厄が降りかかると言う。

死んだ者たちの霊が集まり、台風のように渦を巻き、墓場とこの世を行き来するのだ。

陰気な風にあたる時、それでも人は生きているのに、

どうしても”死”に引っ張られてしまうのは、生きていることが不安定であることの証なのだろうか。

「落ち着く先」である死の世界へは、たとえ風であってもできるだけ触れない方が、身のためということだろう。

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