検索
その風の行き先 精霊風(しょうろうかぜ)
- magazine-yokai
- 2017年11月3日
- 読了時間: 1分

縁起でもないものを嫌い、塩を撒き、
暗い場所には近づかない。
「あっちへ行け」「しみったれた顔してんじゃないよ」
と、多少乱暴であっても、昔の人ははっきりと「陰気なもの」は忌むべきものとして扱い、生きていた。
今や陰も陽も渾然一体となり、道中のどこかに隠れ潜む邪気に当たらぬよう、
マスク越しに息を止めながら生きているような現代。
「精霊風(しょうろうかぜ)」はおそらく私たちの上空で、ぐるぐると今も渦巻いてる。
この精霊風は盆の16日の朝に吹くと言われている。
死人の魂をこの風が運び、この風に当たると急病になるなどの災厄が降りかかると言う。
死んだ者たちの霊が集まり、台風のように渦を巻き、墓場とこの世を行き来するのだ。
陰気な風にあたる時、それでも人は生きているのに、
どうしても”死”に引っ張られてしまうのは、生きていることが不安定であることの証なのだろうか。
「落ち着く先」である死の世界へは、たとえ風であってもできるだけ触れない方が、身のためということだろう。
Comments