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あの世からの火 けち火(けちび)
- magazine-yokai
- 2017年11月21日
- 読了時間: 2分

人魂、火の玉、鬼火…。
いわゆる「怪火」は様々な場所に現れ、姿を変えて現れる。
その伝承や地方によって、呼び方も様々変わるようだ。
西日本では、「けち火」。
高知県の民話に、このような話がある。
芳やんという男が夜道を歩いていると、川のそばで道端にけち火が転がっていた。
近づいてみるところころ転がりだすので、好奇心から追いかけると、けち火はコロコロと逃げ出し、人家に入り込んだという。
その家では、寝ていた男が目を覚まし、妻に「芳やんが追いかけて来るので必死に逃げて来た」と語ったという
けち火は眠っているときに体から抜け出るものと、死んだ瞬間にその肉体から発生するものとあるという。
芳やんの話は前者である、いわゆる幽体離脱なるものだろう。
また、同じく高知県には、度胸試しにとけち火を捕まえた男が、
なんとか家まで持ち帰ったが、捕まえた両手を開くとけち火が消えてしまっていた。
翌日、男は熱病にかかり死んでしまったという。
呼び方を変えれど、人魂は人魂。
本来死後の世界に属する存在なのであるから、現と交わるということは相互に支障を起こすものなのだろう。
けち火は草履を三度叩くか、草履に唾をつけておびき寄せることができるという。
足の裏はこの世を踏みしめるものだ。
足のある=生きている人間の、ちょうど裏に当たる足の裏。。
そこに装備する草履を叩くということは、この世とあの世の扉を叩くようなことなのだろう。
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