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紡ぐ御婦人 苧うに(おうに)
- magazine-yokai
- 2017年11月24日
- 読了時間: 1分

苧(お)。麻やカラムシと呼ばれ、植物の茎の繊維を編み込んだものをいう。
「糸を紡ぐように」という表現があるが、近所に糸が売っているわけでもなかった時代、
女性たちは裁縫用の糸一つ一つを作り、丁寧に編み込みんでいたのだ。
さて、いつものように女たちが集まり、麻で苧を編んでいた。
そこに一人の山姥が現れ、「俺も編んでやる」といい手伝い始めた。
その山姥はあっという間に大量の麻を編み上げて、家を出て行った。
女たちが後を追ってもすでに姿はなく、山姥の姿は忽然と消えていたのだという。
その家のそばには、山姥の足跡が残っていたという。
この苧が大量に積まれている様子がその容姿を思わせること。
また、苧を編み込んだ”山姥”=”鬼”ということもあるのだろうか、
この妖怪を「苧うに(おうに)」と呼ぶ。
果たして人を襲わない山姥を、「山姥」と表して良いものか。
もちろん苧うにを山姥の仲間として表現するのは、あくまで一説である。
どうやら人を取って喰らうだけが山姥、というわけではないのだ。
まるで公民館の寄り合いに通うご婦人のように、自分の腕を披露して、誰かの力になりたかったのだろうか。
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