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紡ぐ御婦人 苧うに(おうに)


苧(お)。麻やカラムシと呼ばれ、植物の茎の繊維を編み込んだものをいう。

「糸を紡ぐように」という表現があるが、近所に糸が売っているわけでもなかった時代、

女性たちは裁縫用の糸一つ一つを作り、丁寧に編み込みんでいたのだ。

さて、いつものように女たちが集まり、麻で苧を編んでいた。

そこに一人の山姥が現れ、「俺も編んでやる」といい手伝い始めた。

その山姥はあっという間に大量の麻を編み上げて、家を出て行った。

女たちが後を追ってもすでに姿はなく、山姥の姿は忽然と消えていたのだという。

その家のそばには、山姥の足跡が残っていたという。

この苧が大量に積まれている様子がその容姿を思わせること。

また、苧を編み込んだ”山姥”=”鬼”ということもあるのだろうか、

この妖怪を「苧うに(おうに)」と呼ぶ。

果たして人を襲わない山姥を、「山姥」と表して良いものか。

もちろん苧うにを山姥の仲間として表現するのは、あくまで一説である。

どうやら人を取って喰らうだけが山姥、というわけではないのだ。

まるで公民館の寄り合いに通うご婦人のように、自分の腕を披露して、誰かの力になりたかったのだろうか。

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