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誘う花 古椿
- magazine-yokai
- 2017年12月5日
- 読了時間: 1分

赤く、非常に愛らしい花をつける椿。
花言葉は「控えめな素晴らしさ」。
椿は樹木であり、寿命は非常に長い。
江戸時代に入り武家屋敷が建てられた際には、数多くの椿が植えられたという。
年月を経て老いた椿の木には、精霊が宿り、人をたぶらかすという。
ある話によると、城下を2人の商人が歩いていた。
峠道にさしかかった頃、片方の商人のそばにいつしか女が歩いていた。
女がその商人に息を吹きかけると、商人の姿が蜂に変わってしまい、女は椿の木の中へ姿を消した。
商人が変化した蜂もそのツバキの花に吸い込まれ、
やがて花がポトリと落ち、残った商人がその花を拾うと、ハチは既に死んでいたという。
椿の花は、朽ちる時、まさに力つきるように、ぽとん、花が落ちる。
あれは初めて見ると、驚き、何やら不吉なものを感じるのだ。
華やかな美しさがあっという間に誰かに奪われるような…。
まるで、首が落ちるように。
冬はまだ眠っている椿も、早いものは冬の中頃に花を咲かせ始める椿もあるが、
フラフラと覗き込むと、たちまち取り込まれて、花と一緒にぽとりと命を落としてしまうかもしれない。
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