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煙の精霊 煙々羅(えんえんら)


めらめらと、ゆらゆらと、屋根から立ち上る煙が、何かに見えてくる。

自分の目が空想に浸っていると思っていたが、いつしか煙は実体を持ち始める。

妖怪・煙々羅(えんえんら)

珍しい「煙」の妖怪である。

煙々羅を描いた絵の紹介文には、

「しづが家のいぶせき蚊遣の煙むすぼゝれて、あやしきかたちをなせり。

まことに羅(うすもの)の風にやぶれやすきがごとくなるすがたなれば、

烟々羅(ゑんゑんら)とは 名づけたらん。」とある。

”家屋に音もなく燻せられた蚊帳の煙が絡みつき解けなくなり、妙な形を成した。

それはまさに薄衣の織物が今にも風に吹かれて破れそうになっている姿のようで、

煙々羅、と名付けた。”

と語られている。

昔、茅葺き屋根の家では、囲炉裏の煙を虫除けとして活用していた。

今でこそ家屋から煙が上がっていたら、物騒な出来事ではあるが。

お好み焼きの上に揺らめくかつお節にまるで意思があるような、そんな奇妙さを感じるのと同じで、

屋根から湧き上がる煤(すす)を含んだうすら灰色の濃淡を目で追ううちに、

昔の人が空目したのだろうか。

それとも。。

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