ケダモノ 玃猿（かくえん）
猿の寿命は一般的に15年～20年ほどという。
では1300年生き続けた猿はどうなるか、あなたはご存知か。
中国の伝説上の生物、玃猿（かくえん）。
その名は「老いた猿」という意味であり、色は青黒く、人や物をよくさらうという。
玃猿はオスばかりでメスがいないため、人間の女を襲い子を産ませるのだという。
さらわれた女性は、山に連れ去られ、子を産まない限り山を下りることを許されない。
子を産まずに過ごすと、次第に姿も形も彼らと同化し、里に帰る気持ちも失ってしまう。
子を産んだ女性とて、玃猿との間に産んでしまった子供を連れて里に帰ることになる。
さらに、子を育てない女性は玃猿に殺されてしまうため、女性は必死で子供を育てる。
育った子供は姿は人間に近く、常人とまったく変わりがない。
しかし、玃猿の子である。
父親である玃猿に名前がなく姓がないため、皆「楊」と名乗るのだという。
貞操を奪われ、思い描いていた夫婦生活も、人としての尊厳もないがしろにされ、
完全なる人ではない子を産み育てなければいけない。
まさにケダモノ、野獣そのもの。女の敵。最低。この人でなし！
囚われた女性の悲しみは計り知れないが、それでも腹を痛めて産んだ我が子を、彼女たちは愛して過ごすのだろうか…。
