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侮るな 旧鼠(きゅうそ)


「窮鼠猫を噛む」という。

追い詰められたら小さなネズミであっても、一矢報いることがあるのだ、ということわざだが。

歳月を経たネズミのことを”旧鼠”という。

江戸中期の随筆、『翁草』にこのような記述がある。

現在の名古屋市のある地域に、毎晩のように行灯の火が消える家があり、調べてみると、夜中に旧鼠が現れて行灯の油を舐め取っていたということがわかる。

この旧鼠を退治すべく猫を用意して、その夜旧鼠が現れると、猫は旧鼠を威嚇して飛びかかった。

しかし旧鼠は猫に捕まるどころか、猫の喉に噛みつき殺し、逃げ果せたという。

家の者は大いに驚き、改めてネズミ退治の巧い猫を見つけてまた準備を備えた。

次の夜が来て、再び旧鼠とネコの対決となったが、長い睨み合いの末、旧鼠はまたもや猫を噛み殺して逃げ去ってしまい、これを見た人々は窮鼠(きゅうそ)却て猫(ねこ)を噛む、と言ったという。

件のことわざは、この旧鼠と追い詰められた窮鼠との掛け合わせで生まれたものだという。

旧く老いたものは徐々に力を失い、強いものにあっけなく負かされる。

と、思って油断していると、鋭い牙で喉元を噛み破られるのだ。

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