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お山の大将 牛蒡種(ごぼうだね)


「憑き物」という災厄がある。

ある禁忌に触れてしまった者や、道理に背いた行いをした者、さらには自身が何をせずとも血筋などのために”降りかかって”くる恐ろしい呪いを言う。

その昔、

九尾の狐が化けた殺生石を源翁心昭という人が砕いた。

すると、その破片の一つが飛騨に飛び散って、牛蒡種(ごぼうだね)と呼ばれる呪いが生まれた。

この牛蒡種(ごぼうだね)は、家に憑き、家人ではなくその家の者たちが憎んだり、妬んだりした相手に生き霊を憑かせると言うのだ。

牛蒡種の家の者たちに目をつけられ、憎まれたり嫉妬されたりした者は、頭痛を発病しやがて精神を病むと言う。彼らが他家の農作物などを褒めただけでその農作物はダメになってしまうと言うし、陶器を褒めるとその陶器は割れてしまう。

ただし、不思議なことに、地位の高い人物に対しては牛蒡種の効力はないと言う。

家の者に虚勢を張らせ、村内の中でのヒエラルキー上位にいたいがための呪いである。

しかし長になる度胸もなく、長を恨む気概もなく、

ただただ平場ででかい顔をしていたいだけの、お山の大将な呪いなのであった。

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