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武士の魂 鞍野郎(くらやろう)
- magazine-yokai
- 2018年3月24日
- 読了時間: 1分

馬の「鞍」の妖怪である。
平安時代末期の武将、鎌田政清という人がいた。
源義朝の乳兄弟として共に活躍していたが、六条河原の戦いで敗れ、落ち逃れていたところを舅の長田忠致という男にかくまってもらうが、
それが罠であり、忠致の裏切りのため騙し討ちに会い、殺されたという。
最終的には非情な死を遂げたこの武将の鞍が、
妖怪として描かれているのが「鞍野郎」だ。
鞍そのものが命を得て、その手に鞭を携えて、今もなお戦おうとしている。
騙され命を落とした鎌田政清のその悔しさが、無念さがそうさせていたのだろうか。
いやもしくは、政清が亡くなる前から、彼には気付かれずとも一緒に戦っていたのかもしれない。
戦いで敗れて落ち武者狩りからものがれ、おそらく馬にまたがるような目立つことはままならなかったろう。
共に戦い政清の力となってきた鞍野郎は、彼と離れ離れになり、
しかし政清が力尽きても今もなお、彼の帰りを待ち続けているかもしれないのだ。