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二体一対の禁忌 おしら様
- magazine-yokai
- 2018年4月6日
- 読了時間: 2分

ある悲恋の話である。
岩手県は遠野市。今は昔、とある農家の娘がいた。
その家には農耕馬として大切に馬が一頭飼われていた。
娘は馬を大そう可愛がり、仲睦まじく暮らしていたが、次第に人間と馬という境も超え、
娘と馬は愛し合い、ついに娘は夫婦となることを誓うことになる。
そのことを知った父親はひどく怒り、すぐさま馬の首を切り落としてしまった。
娘が泣いてその首にすがると、その首は動き出し、娘とともに空高く何処かへ飛び去ってしまったという。
その後、娘と馬は「おしら様」と呼ばれる神様となった。
姿を消した娘は両親の枕元に立ち、養蚕の方法を伝えたのだという。。
おしら様は現在でも家の神、農業の神、馬の神、蚕の神として信仰があるが、
信仰の仕方を間違えると大病にかかり、恐ろしい祟りにあう。
動物の肉や卵を嫌うといい、間違えて備えると顔が曲がってしまうという。
また、一度拝むとそれ以降もずっと拝まなければならない。
拝むのをやめたり、祀り方を間違えたり粗末に扱うと、家族に祟りがあると言われている。
おしら様のご神体は人型の男や女、馬と女、の組み合わせでに二体一対で祀られる。
ご神体は2種類あり、貫頭衣という服を着ているものと、頭からすっぽりと顔を布で覆っている形とがある。
遠野市にある「伝承園」では祀られたおしら様を見ることができるが、
部屋中に多数のご神体がずらっと祀られているその様は、今にもそれぞれがざわめきだすような、背筋が冷たくなるほど、圧巻の景色である。