

女の敵 髪切り
気づかぬうちに人の髪の毛を切るという、妖怪「髪切り」。 ご覧ください、両手はまさにシザーハンズ。 口までもクチバシのようにハサミ型になっているという念の入れよう。。 加えて顔全体がピザ切るやつみたいになっていて、首を振るだけでもなんかしらの物を斬れそうである。...


水と死 赤舌(あかした)
水門の上に、大きな黒雲が立ち込め、その中に化け物の姿がある。 化け物の口は大きく開かれ、その口からは巨大な真っ赤な舌が現れている。 妖怪「赤舌」。 手には爪を持ち、しかし実体があるような無いような、境界の曖昧な妖怪だ。 この赤舌は水門に現れる。伝承が少なく、赤舌自身の意思や...


恨み憎む心 蛇帯(じゃたい)
「”人帯を藉(しき)て 眠れば蛇を夢む” されば 妬る女の三重の帯は、七重にまはる毒蛇ともなりぬべし」 着物の帯を枕元に敷いて寝ると、蛇の夢を見るという言い伝えがある。ならば、妬みに取り憑かれた女の三重の帯は、七重にとぐろを巻く毒蛇にもなるのだ。...


嫌われ者界の絶対王者 火間虫入道(ひまむしにゅうどう)
「働かざる物食うべからず。」 働こうとしないなら、食べるものはない、もはや使われすぎた言葉だが。 いつの世もできる限りダラダラとしようとする人はいる。 驚くほど、ダラダラするためには努力を惜しまない、怒られようが嫌がられようが生き方を貫く…...


餌の思い出 鬼一口(おにひとくち)
やっと夢が叶ったと思ったのに、突然の不幸に見舞われて命を落としたり、怪我をしたり、 なんと神様は薄情で残酷なのだろうと思うことがある。 その矛先が決まるのに、大きな理由はないのだろう。 大きな理由はないからこそ、避ける方法もないのだ。。...


お化けなんてないさ♪ 加牟波理入道(かんばりにゅうどう)
昔ながらの民家は、夜が深くて暗い。 どうしても我慢ができなくて厠に行くが、離れにある厠の不気味さといったら。。 昼間の明るさが嘘のように感じられ、静まり返った我が家は、家族以外にも誰かが潜んでいるような気がして、トイレのドアを開けるのもためらう。...


守られ、見られ 笑い地蔵
「道」という字は、”生首を持って歩いている姿”からきているという。 今は道を歩くことなど、スキップ刻んでほいほい歩けるものだが、 街灯どころか整備すらされていない道を歩くしかなかった時代、災いを避けるまじないの意味で、 (戦争中の由来だろうか)異族や敵の首を持って、荒道を進...


それでも待っている 青女房(あおにょうぼう)
廃れた屋敷に一人、女が鏡に向かっている。 その顔は眉毛もぼうぼうに伸び、目尻は垂れ、だが常に鏡を持ってお歯黒や化粧をしている。 妖怪「青女房」。 ”青女”とは、若い娘を表す言葉だという。 また、”女房”とは私室を与えられた高位の女官、貴人邸に仕える上級の侍女をさす言葉だった...


クイックル的な… 天井嘗(てんじょうなめ)
和室で寝ると、天井が気になる。 木目なのかシミなのか、二つの目と口が顔に見えるシミがある。 「そう見えるだけだから気にするな」と親に叱られ、無理やり目を瞑るのだが、薄い豆電球の明かりの中、じわじわと、あの木目から顔が浮かび上がってくる気がする。...


忘れられない味 古庫裏婆(こくりばばあ)
ある山中の古寺に、住み着いていた老婆の妖怪だ。 かつてその寺で献身的に家事をこなす良い嫁であったが、夫である住職が死んだ後、寺に隠れ住むようになり、いつからか異常な長寿となり、しまいには妖怪と化してしまった。 住職が7代を過ぎる頃には、お供え物の食べ物を食べたり、金銭を盗み...