

お山の大将 牛蒡種(ごぼうだね)
「憑き物」という災厄がある。 ある禁忌に触れてしまった者や、道理に背いた行いをした者、さらには自身が何をせずとも血筋などのために”降りかかって”くる恐ろしい呪いを言う。 その昔、 九尾の狐が化けた殺生石を源翁心昭という人が砕いた。...


網目のものなら何であれ 網剪(あみきり)
えび…ではないのだ。 ザリガニ…というわけでもないのだ。 妖怪・網剪(あみきり) この妖怪は蚊帳、ほしてある網を切り裂く妖怪である。 その姿通り、手にしたハサミで今にも何か切らせてくれ、というような様相である。 その昔、漁村での出来事。...


足を長〜くして 高女(たかじょ)
あれあれとまとわりついて、 いなくなったかと思えば、思わぬところからヌゥと現れる。 神出鬼没な女性の執心というのは、しばしば男性の予想を超える。 妖怪・高女(たかじょ) 下半身が長く伸びて、下の階から女が現れている。 彼女の姿は遊女である。...


お手伝い型UMA 異獣(いじゅう)
猿に似て、しかし人間よりも大きく、 さらに背中に届くほどの頭毛。 妖怪、いや今日でいうUMAの類になるだろうか。 「異獣(いじゅう)」と呼ばれる獣がいる。 ある年の夏の初め、 今の新潟県である越後国に、竹助という男が急ぎの荷物を背負って、届けの使いに出発した。...


城を牛耳る姫 亀姫(かめひめ)
徳川家康の長女も亀姫というが、彼女とはまた違う姫さまがおられたようだ。 妖怪・亀姫(かめひめ)。 福島県猪苗代町の猪苗代城(亀ヶ城)に住みついていたとされる。 その逸話は、何ともそら恐ろしいものである。 時の藩主に仕え、猪苗代城の城代の役職を授かった堀部主膳という人がいた。...


魔を生むじゃじゃ馬娘 天逆毎(あまのざこ)
昔、スサノオという神がいた。 彼が体内に溜まった気を吐き出し、それが形を成すことで誕生したのが、 天逆毎(あまのざこ)と呼ばれる女神である。 彼女は女神であり、また、天狗や天邪鬼の祖であるとも言われる存在であるという。 その姿は人間に近いが、顔は獣のようだという。...


山本五郎左衛門(さんもと ごろうざえもん)
お武家さんの面会の様子に見えるだろう。 向かって左の、お武家のような、商人のような、何か話を持ちかけているような裃の男性が、 山本五郎左衛門、妖怪である。 この男、このなりで、妖怪の眷属たちを引き連れる頭領だという。 つまりは人の真似をした仮の姿なのだ。...


兄と弟 ケンムンとウバ
奄美に伝わる妖怪兄弟。 毛むくじゃらのカッパによく似た出で立ちで、相撲が好きである。 体に比べて足が細長く、頭の皿に力水または油を蓄えている。 河童同様に皿の水が抜けると力を失う。 ガジュマルの精霊とも言われ、ガジュマルの木を傷つけるとケンムンが現れ祟られる。...


侮るな 旧鼠(きゅうそ)
「窮鼠猫を噛む」という。 追い詰められたら小さなネズミであっても、一矢報いることがあるのだ、ということわざだが。 歳月を経たネズミのことを”旧鼠”という。 江戸中期の随筆、『翁草』にこのような記述がある。 現在の名古屋市のある地域に、毎晩のように行灯の火が消える家があり、調...


山の中でケラケラと 笑い女(わらいおんな)
妖怪・笑い女。 現在の高知県のあたりに伝わる妖怪で、 毎月1日、9日、17日に山に入るとこの笑い女に遭い、半死半生になってしまうといわれた。 その昔、この言い伝えを無視して、ある男が家来を引き連れて山に入ったところ、17,18歳程度の女性が現れて彼をを指差して笑っていた。...