

神様の気遣い 白粉婆(おしろいばばあ)
白粉婆(おしろいばばあ)は、奈良県に伝わる妖怪だ。 その姿はひどく腰が曲がり、ボロボロな大きな傘をかぶって歩いている老婆の姿だ。杖をつき、徳利を持っている。 鏡を引きずり、ジャラジャラと音を立てて姿を表すという。 その顔一面に白粉を塗りたくっているのだが、その塗り方がひどく...


一人の灯 老人火(ろうじんび)
雨の夜。山奥に一つの焚き火が見える。 これは助かった、と思うだろうか? いや違う。 天候は雨だ。屋外で焚き火ができるはずもない。。 それは信州と遠州(現在の長野県と静岡県)の境に現れる怪火である。この火は老人と共に現れ、その炎は水をかけても消えない。唯一、獣の皮ではたくと消...


”家宝”は寝て待て… 金霊(かねだま)
”人善事を成せば天より福をあたふる事 必然の理也” 小さい頃から、”いいことしてたら、いいことあるよ”と言われてきたその言葉を、もはや、「あれは…嘘だったんだな…」と思ってしまうほどの現状ですが。。 最後の最後に、いつかきてくれるのだろうか「金霊(かねだま)」よ。...


妙なプライド 小雨坊(こさめぼう)
秋が寒さと一緒に雲を引き連れてやってきたような、冷たい雨が降っております。 体の芯まで冷やされるような雨…。 雨音と一緒に、暗闇では人外のものが思わぬところに現れている。 ”小雨坊は 雨そぼふる夜、大みねかつらぎの山中に徘徊して 斎料(ときりやう)をこふとなん”...


骨の音 がしゃどくろ
身内の葬儀などで遺骨を見た人は、たくさんいるだろう。 骨となっても個人の体であり、魂を扱うことには変わりがないのだから、それなりの作法と手順を持って骨壷に納める。 割り箸で掴んだ遺骨は、その存在の重大さに反して、思っていたよりもカラカラと軽い音を立てるものだ。...


添い寝フレンド いそがし
毎日お仕事、ご苦労様です。 遊んで暮らしているという人も、ずっとパソコンの前にいる人も、心のうちは落ち着きませんか。 どなた様も上手に休めておりますでしょうか。 妖怪「いそがし」 この妖怪に憑依されてしまうと、落ち着きがなくなり、何かと動かないと落ち着けなくなってしまうとい...


あと1話 青行燈(あおあんどん)
百物語。 複数人で集まり、100本のろうそくを立てる。 一人が1話怪談を話し終えるたび、目の前のろうそくをふっと吹き消す、という印象が一般的だ。 そして最後の1話を話し終えた時、恐ろしい怪異が起こる…!とされている。 最近ではオカルトブームも相まって、SNS上で催されたり、...


純愛 蛇骨婆(じゃこつばばあ)
「もろこし巫咸国(ぶかんこく)は女丑の北にあり 右の手に青蛇をとり 左の手に赤蛇をとる人すめるとぞ 蛇骨婆は此の国の人か 或説に云 蛇塚の蛇五右衛門(じゃごえもん)といへるものの妻なり よりて蛇五婆(じゃごばあ)とよびしを 訛りて蛇骨婆といふと」...


気まぐれ愉快犯 朱の盆(しゅのぼん)
真っ赤な顔に一つ目の恐ろしい妖怪である。 この朱の盆(しゅのぼん)に会うと、魂を抜かれるという。 その昔、越後へ旅する二人の男が、道に迷い日も暮れ困っていた。 そこに1軒の古びた家があり、老婆が住んでいたのを見つけ、一晩泊めてもらえるようお願いをする。...


誰への 送り拍子木(おくりひょうしぎ)
火の用心、カン、カンという、日本人では皆が知っている拍子。 地域の自警団や消防団が今でも行なっている見回り。 秋冬になり、そろそろ聞こえてくる季節だろう。 さて、これは「本所七不思議」の一つ、現代でいう東京都は墨田区に伝わる怪異である。。...