

待てない鳥 陰摩羅鬼(おんもらき)
その姿は鶴に似て、体は黒く、羽を震わせて甲高く鳴く。 この世に存在しない怪鳥、「陰摩羅鬼」。 陰摩羅鬼は、新しい死体が十分な供養を受けず、化けて出たものとされる。 経文読みを怠っている僧侶のもとに現れるといわれている。 ある男が寺でうたた寝をしていると、自分を呼ぶ声で目を覚...


運命共同体 足長手長
手の長い「手長人」! 足の長い「足長人」! 二人合わせて、足長手長!! というわけで、「どうもこうも」に相対して息のぴったり合った、名コンビ妖怪「足長手長」の登場である。 足長人は「足長国」の住民、手長人は「手長国」の住民であるそうだ。...


やおよろずの広報大使 唐傘小僧
一つ目で大きな舌を出し、一本足でぴょんぴょんと跳ねて現れる。 悪さはしないし、なんといってもその愛嬌が可愛らしい、唐傘小僧くんである。 その正体は、その通り”傘”である。 つくも神(付喪神、九十九神)といい、傘に限らず、物が長い歳月を経ると、魂を得ると言われている。...


地続きの穴 丑の刻参り
人を呪わば穴二つ…とはよく聞く言葉だ。 簡単にいうと、誰かを呪うならば、あなたにも呪いがかえってきますよ、ということだ。 もっと大きく解釈すると、誰かを憎み呪った時点であなたの足元にも穴が生まれ、それに足を取られて大事な時間をなくしているのですよ、とも言われる。...


驕りと勘違い 襟立衣(えりたてごろも)
「鞍馬山僧正坊」と呼ばれる天狗がいる。 牛若丸に剣技を教えたとされる、日本八大天狗の1人である。 彼はかつて人間の高僧だった。 しかし修行途中にもかかわらず、悟りを得たと思い違えたため、死後に成仏することができなかった。そして彼はその早合点から、驕りの象徴である天狗に生まれ...


満たされぬ強欲 餓鬼
足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り。(老子) もっといい食事を、もっといい恋人を、もっといい人生を。 飽食の時代とはいうものの空前絶後の大不景気、SNSではどこもかしこも自己アピールとうねるような羨望の眼差し。横を見ればきりがないがやっぱり自己の現状にも満足できず、足...


人が人を呪う顔 朧車(おぼろぐるま)
「むかし 賀茂の大路をおぼろ夜に 車のきしる音しけり 出てみれば異形のもの也 車争の遺恨にや。」 月が雲に翳りはっきりと見えない”おぼろ夜”に、 きいきいと牛車のきしむ音がする。 出て見てみると妖怪がそこにいた。 車争いによる遺恨から生まれ出た妖怪であろうか。...


惜しい二人 どうもこうも
絵巻に登場するだけの妖怪で、何をするかはわからない。 その姿は、1つの体に対して異なる2つの頭がくっついている。 どうもこうもは、元は「どうも」と「こうも」という、2人の人間であった。 昔「どうも」と「こうも」という名前の二人の医者がいた。どちらも、自分こそが日本一の名医だ...


深淵からの来訪者 塗仏(ぬりぼとけ)
真っ黒な、坊主の妖怪。 両目玉が飛び出していて、さらにその目玉は下に垂れ下がって、まぶたの裏側も丸見えである。 奇妙で得体の知れない妖怪「塗仏(ぬりぼとけ)」。 彼は仏壇から突然に現れて、ぐわっと目を飛び出させて人を脅かす、そして怠け者の僧に襲いかかるという。...


働くお母さん 濡れ女
海や川に現れるという、半蛇半人の女の妖怪、濡れ女。 人間の姿で現れることもあるが、顔以外は蛇の体である。 蛇の体の長さは300メートルを超える大蛇で、彼女に見つかった者は、逃げ切ることはできないという。。 濡れ女は、見た目も恐ろしい妖怪であるが、加えて「牛鬼」の使いとして現...